以前の私のブログで、資産家の方々の相続税対策の一つの手法として、平成25年度税制改正により新設された教育資金贈与の非課税の特例について説明しました。
最近の新聞記事によりますと、この制度を利用して銀行に教育資金贈与の非課税口座を開設する人が増加しているそうです。
そこで、前回までは非課税となる教育資金について説明しましたが、今回は贈与税が課税される場合について説明したいと思います。
1 教育資金に残額がある場合
受贈者が30歳になった時点で、教育資金の贈与税の非課税口座に残額があるときは、30歳になった時点で贈与税が課税されます。
2 教育資金以外の用途に使用した場合
教育資金贈与の非課税の特例は、金融機関に対して、教育資金に充てたことを領収書等を提出して証明した金額についてのみ適用を受けることができます。したがって、他の用途に使用したり、領収書等で教育資金で充てたことを証明できなかったりした場合については贈与税が課税されます。
問題は、いつの時点で贈与税が課税されるかです。他の用途に使用したときや領収書等で証明できなかったときではなく、上記1と同様に受贈者が30歳になった時点で贈与税が課税されます。
3 非課税口座に教育資金を残額として残すのではなく、贈与者に返還した場合
贈与者に教育資金として使用しない金額を返還したのだから課税関係は生じないと考える方がいるかもしれませんが、それは誤りです。金融機関と教育資金贈与の非課税口座の契約を締結して、教育資金の贈与をした時点で贈与行為は終了しています。
したがって、教育資金として使用しないで非課税口座に残した場合と何ら変わりませんので、返還した金額について上記2と同様に贈与税が課税されます。さらに、新たな贈与行為があったものとして返還を受けた者に対しても贈与税が課税されることが考えられます。
4 贈与者が死亡した場合
贈与者が死亡しても、受贈者が30歳になるまで、教育資金の非課税口座の契約は継続します。そして、受贈者が30歳になった時点で、上記1,2,3の事由に該当する場合には贈与税が課税されます。
平成27年1月1日以降の贈与税の税率は、直系尊属(父・母、祖父母など)からの贈与税の税率(一般の税率より軽減されている)と一般の贈与税の税率との2種類があります。この教育資金贈与の非課税口座に預けた金額については、受贈者が30歳になった時点で贈与者である直系尊属が死亡していた場合においても、直系尊属からの贈与税の税率を適用します。
税理士法人中部メトロ社員税理士 足立勝彦のブログ「不動産のなやみ」から掲載。
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