平成24年改正後の新非課税制度について(贈与・相続)

平成24年改正後の新非課税制度について

受贈者の要件、取得等する住宅用家屋の要件、贈与税の期限内申告書(期限内申告書でなければ適用できません。)に添付する書類など適用要件が多いです。

1 新非課税制度と暦年課税及び精算課税との適用関係

受贈者は、贈与を受けた住宅取得等資金が非課税限度額を超える場合には、その超える部分の金額については、下記のイメージ図(国税庁ホームページ、住宅取得等資金ちらしから抜粋)に記載のとおり、暦年課税か相続時精算課税を選択することが出来ます。
ただし、贈与者の要件は、暦年課税の場合には受贈者の父・母・祖父母などの直系尊属ですが、相続時精算課税の場合には、原則として受贈者の父・母となります。

2 新非課税制度の非課税限度額

(1)単年のみ適用を受ける場合

 受贈者が贈与者から自己の居住の用に供する省エネ等住宅の新築若しくは取得又は増改築等の対価に充てるための金銭を取得した場合において、一定の要件を満たすときは、その金銭のうち、平成24年は1,500万円まで、平成25年は1,200万円まで、平成26年は1,000万円まで贈与税が非課税となります。
 また、省エネ等住宅以外の住宅の場合には、平成24年は1,000万円まで、平成25年は700万円まで、平成26年は500万円まで贈与税が非課税となります。

(2)連年適用を受ける場合

 特例の適用年に応じて非課税限度額が異なり、翌年以降は、既に適用を受けた非課税額を控除した残額が非課税限度額となります。
 例えは、平成24年に省エネ等住宅以外の住宅取得等資金800万円の贈与を受け、その全額について贈与税の非課税の適用を受けた場合において、平成25年に省エネ等の要件を満たすリフォーム資金500万円の贈与を受けたときは、平成25年の非課税限度額は次のとおりとなります。

<平成25年省エネ等非課税限度額>1,200万円 ー <平成24年非課税適用済み額>800万円=400万円が非課税限度額

3 受贈者の要件

 以下の1から8までの全ての要件を満たしていることが必要です。

  1. 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。

    ただし、贈与を受けた時に日本国内に住所を有しない方であっても、次の①及び②に該当する場合は対象となります。

  2. ① 贈与を受けた時に日本国籍を有していること。
    ② 受贈者又は贈与者がその贈与前5年以内に日本国内に住所を有したことがあること。
  3. 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属(贈与者は受贈者の直系尊属)であること。

    (注)配偶者の父母(又は祖父母)は直系尊属には当たりませんが、養子縁組をしている場合は直系尊属に当たります。

  4. 贈与を受けた年の1月1日において、20歳以上であること。
  5. 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下であること。
  6. 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等をすること。

    (注)受贈者が「住宅用の家屋」を所有する(共有持分を有する場合も含まれます。)ことにならない場合は、この新非課税制度の適用を受けることはできません。

  7. 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること又は同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。

    (注)贈与を受けた年の翌年12月31日までにその家屋に居住していないときは、新非課税制度は適用されず、修正申告が必要となります。

  8. 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある方から住宅用の家屋の新築若しくは取得又は増改築等をしたものではないこと。
  9. 平成23年分以前の年分において、旧非課税制度(平成22・24年の各税制改正前の「住宅取得等資金の贈与税の非課税」のことをいいます。以下同じです。)の適用を受けたことがないこと。

受贈者については、住所、年齢、所得制限、直系卑属であることなど、クリアする要件が多々あります。

4 適用を受けることが出来る住宅用家屋の要件

1 「省エネ等住宅」とは

 平成24年から、省エネ等住宅については、省エネ等以外の住宅と区分して、非課税限度額が500万円多く設定されています。
 この「省エネ等住宅」とは、省エネ等基準(省エネルギー対策等級4相当(注1)であること、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であること又は免震建築物であることをいいます。)に適合する住宅用の家屋であることにつき、次のいずれかの証明書(注2)などを贈与税の申告書に添付することにより証明がされたものをいいます。

(1)住宅性能証明書又は建設住宅性能評価書の写しによる証明対象となる家屋
① 新築をした住宅用の家屋
② 建築後使用されたことのない住宅用の家屋
③ 建築後使用されたことのある住宅用の家屋(注3)
④ 増改築等をした住宅用の家屋(注4)

(2)長期優良住宅認定通知書の写し及び認定長期優良住宅建築証明書などによる証明対象となる家屋
① 新築をした住宅用の家屋
② 建築後使用されたことのない住宅用の家屋

(注1)大手住宅メーカーについては、標準で省エネルギー対策等級4の基準を満たしている住宅がほとんどです。例えば断熱材のグラスウール180mm、窓は複層ガラスを採用している住宅などです。
(注2) 上記の証明書などの発行につきましては、下記のHPを参照してください。
国土交通省HP 税制と各種証明 
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_fr2_000011.html
一般社団法人住宅性能評価・表示協会
http://www.hyoukakyoukai.or.jp/zouyo/01.html
(注3) 建築後使用されたことのある住宅用の家屋の場合は、その取得の日前2年以内又は取得の日以降にその証明のための家屋の調査が終了した又は評価されたものに限ります。
(注4) 住宅用の家屋の増改築等をした場合に、省エネ等基準に適合させるための工事であることについての証明がされた「増改築等工事証明書」を、「住宅性能証明書」又は「建設住宅性能評価書の写し」に代えることができます。

2 住宅の新築・増改築の要件

「住宅用の家屋の新築」には、その新築とともにするその敷地の用に供される土地等又は住宅の新築に先行してするその敷地の用に供されることとなる土地等の取得を含み、「住宅用の家屋の取得又は増改築等」には、その住宅の取得又は増改築等とともにするその敷地の用に供される土地等の取得を含みます。
また、対象となる住宅用の家屋は日本国内にあるものに限られます。

(1)新築又は取得の場合の要件

 次の①及び②に該当する住宅

  • ① 面積要件
    新築又は取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
  • ② 取得した住宅の要件
     次のイ、ロ、ハのいずれかの要件に該当する住宅
    イ 建築後使用されたことのない住宅用の家屋
    ロ 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、その取得の日以前20年以内(耐火建築物の場合は25年以内)に建築されたもの
  • (注) 耐火建築物とは、登記簿に記録された家屋の構造が鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造などのものをいいます。
    ハ 建築後使用されたことのある住宅用の家屋で、耐震基準(耐震等級(構造躯く体の倒壊等防止)1相当以上であること)に適合するものであることにつき、「耐震基準適合証明書」又は「住宅性能評価書の写し」により証明がされたもの
    (注) 家屋の取得の日前2年以内にその証明のための家屋の調査が終了した又は評価されたものに限ります。

    (2)増改築等の要件

    次の①、②及び③に該当する増改築等

  • ① 面積要件
    増改築等後の住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が50㎡以上240㎡以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が受贈者の居住の用に供されるものであること。
  • ② 一定の公示に該当することについて証明された自己所有・居住家屋
    増改築等の工事が、自己が所有し、かつ、居住している家屋に対して行われたもので、一定の工事に該当することについて「確認済証の写し」、「検査済証の写し」又は「増改築等工事証明書」により証明されたものであること。
  • ③ 工事費用の要件
    増改築等の工事に要した費用の額が100万円以上であること。
  • (注) 増改築等の工事の部分に居住の用以外の用に供される部分がある場合には、増改築等の工事に要した費用の額の2分の1以上が、自己の居住の用に供される部分の工事に充てられていなければなりません。

    (注) 「新築」には、贈与を受けた年の翌年3月15日において屋根(その骨組みを含みます。)を有し、土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものが含まれます。また、「増改築等」には、贈与を受けた年の翌年3月15日において増築又は改築部分の屋根(その骨組みを含みます。)を有し、既存の家屋と一体となって土地に定着した建造物として認められる時以後の状態にあるものが含まれます。
    なお、「取得」の場合には、これらの状態にあるものが含まれませんので、贈与を受けた住宅取得等のための金銭を建売住宅又は分譲マンションの取得の対価に充てている場合でも、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその引渡しを受けていなければ、新非課税制度の適用を受けることはできません。

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