納税猶予額の免除と納付

2013/01/31

納税猶予額の免除と納付

前回は、農地等について納税猶予の適用を受けることができる相続税について説明しました。今回は、納税猶予の適用を受けた相続税について、その相続税額の免除又は納付することとなる場合について説明します。

農地等の相続税の納税猶予の適用を受けた農業相続人について、一定の事由が生じた場合には、納税猶予を受けている相続税額の免除又は納税猶予期限が到来して相続税を納付することとなります。(租税特別措置法70の6)

1 納税猶予額の免除
納税猶予の適用を受けている農業相続人が、次に掲げる事由に該当する場合には、それぞれに掲げる相続税額が免除されます。
ただし、都市営農農地等を有する農業相続人については次の(1)(2)(3)の事由に限ります。

(1)農業相続人が死亡した場合には、納税猶予分の相続税額。
(2)農地等の全部につき贈与税の納税猶予に係る贈与をした場合には、納税猶予分の相続税額。
(3)農地等の一部につき贈与税の納税猶予に係る贈与をした場合には、その贈与した部分に対応する納税猶予分の相続税額。
(4)申告期限の翌日から20年を経過した場合(市街化区域内農地等に限る)には、納税猶予分の相続税額の内一定の金額。(注1)

(注1)20年免除についての改正
平成21年6月24日に公布された農地法等改正法施行日(公布後6月以内)以後の相続又は遺贈により取得した市街化区域外の農地等については、20年免除が廃止され、農業相続人の死亡の日まで農業経営を継続することとされました。(改正法附則66条5項)

2 納税猶予額分の相続税額の全部納付と一部納付
(1)全部納付
上記1の納税猶予額の免除の事由に該当する前に、次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、納税猶予分の相続税額の全部を納付しなければなりません。
① 譲渡等(収用交換等を除く)があった農地等の面積が100分の20を超える場合。
② 農業経営を廃止した場合。
③ 3年ごとに提出すべき継続届出書の提出がなかった場合。

(2)一部納付
上記1の納税猶予額の免除の事由に該当する前に、次に掲げる事由のいずれかに該当する場合には、納税猶予分の相続税額のうち一定の相続税を納付しなければなりません。
① (1)①の譲渡等以外の譲渡等があった場合。
② 申告期限後10年を経過する日において、農業相続人の農業の用に供されていない準農地がある場合。
③ 農地等の全部又は一部が都市営農農地等である場合において、その都市営農農地等について生産緑地法の規定により買い取りの申し出があった場合。
④ 農地等の全部又は一部が都市計画の決定もしくは変更により、特定市街化区域農地等に該当することとなった場合。

3 農業経営は廃止していないものとみなして納税猶予を継続できる場合
農業相続人が次の(1)又は(2)に該当する場合において、それぞれその貸付を行った日から2月以内に、一定の届出書を納税地の所轄税務署長に提出したときに限り、農業経営は廃止していないものとみなされて、納税猶予を継続することができます。
(1)障害、疾病等の事由により農地等を農業相続人の農業の用に供することが困難な状態となった場合において、営農困難時貸付を行ったとき。
(2)農地等(市街化区域内農地等を除く)の全部又は一部について特定貸付を行ったとき。

次回以降は、不動産を所有する方たちも消費税とは無縁ではありません。そこで、消費税について基本的な事項から順次説明したいと思います。

(このブログは、作成時(H25.1月)現在の法令等に基づいて作成しています。)

税理士法人中部メトロ社員税理士 足立勝彦のブログ「不動産のなやみ」から掲載。

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