個人事業者が法人成した場合の納税義務について
前回は、新設法人の納税義務について説明しました。
今回は、基準期間の課税売上高が1千万円以上である消費税の課税事業者である個人事業者が、年の中途で資本金300万円の法人を設立して個人事業で営んでいた事業を法人に引き継いで法人成した場合の納税義務について説明します。
(1)納税義務の有無の判定単位
事業者単位ごとで判定しますので、個人事業者と法人成り後の法人とでは別々に納税義務の判定をすることとなります。
(2)納税義務の判定
法人成り直前までの個人事業の課税期間にかかる基準期間はありますので、その基準期間における課税売上高が1千万円を超える場合には、個人事業について消費税の納税義務があります。
一方、法人については、個人とは別の事業者単位ですので、法人単独で納税義務の判定を行います。したがって法人成り後の設立1期目にかかる基準期間はありませんので、納税義務が免除されない新設法人(注1)に該当しなければ、上記の設立1期目は免税事業者になります。
なお、注意すべき点は、法人成りによって個人事業者としての課税関係を終了させるため、個人事業で使用していた資産を法人に有償譲渡した場合において、その譲渡が課税資産の譲渡等とされる譲渡であるときは、個人事業における課税売上に含めることになります。
(注1)
納税義務が免除されない「新設法人」とは、その事業年度の基準期間が無い法人のうち、当該事業年度開始の日における資本又は出資の金額が1千万円以上である法人をいいます。
詳しくは前回のブログ「消費税の納税義務の免除(2)…新設法人」を参照してください。
(このブログは、作成時(H25.2月)現在の法令等に基づいて作成しています。)
税理士法人中部メトロ社員税理士 足立勝彦のブログ「不動産のなやみ」から掲載。