譲渡所得の課税の特例…収用等(5)

2013/10/28

前回は、収用等の課税の特例と軽減税率との適用関係について説明をしました。
今回は、代替資産を取得した場合の課税の特例と5000万円控除との適用関係について説明します。

6 同一年中に複数の収用交換等に係る事業により資産を譲渡した場合
…暦年統一選択適用

収用交換等の場合の課税の特例は、一の収用交換等に係る事業ごとに選択します。
ただし、同一の年中に複数の収用交換等に係る事業のために資産の譲渡をした場合には、同一年中における全ての収用交換等に係る事業について、課税の繰り延べ規定または5000万円特別控除の規定のいずれかを統一して適用しなければなりません。
なお、特別控除を選択した場合には、同一の年中に控除することができる特別控除額の合計額は5000万円が限度額となります。

7 一の収用交換等に係る事業のための資産の譲渡が2以上の年にわたった場合
…連年適用

(1)5000万円の特別控除
同一の収用交換等に係る事業のための資産の譲渡が2以上の年に分けて譲渡した場合には、最初の年に譲渡した資産にしか、5000万円の特別控除を適用することができません。

(2)代替資産を取得した場合の課税の特例
代替資産を取得した場合の課税の特例は、収用等のあった日から原則として2年以内に代替資産を取得しなければならないという取得期間についての制限はありますが、5000万円の特別控除のように一の収用交換等の事業について一回限り、かつ、最初の年における譲渡に限るという適用回数及び適用時期についての制限がありません。したがって、代替資産を取得した場合の課税の特例は、最初の年の譲渡及び次の年の譲渡と2年にわたって適用を受けることもできます。

以上をまとめると
1年目          2年目         3年目
①特別控除を先行       5000万円控除  → 代替資産の特例 → 代替資産の特例
②代替資産の特例を先行  代替資産の特例  → 代替資産の特例 → 代替資産の特例

同一年中に複数の収用事業のために資産の譲渡をしたときは、年を通じてすべての収用事業について、5000万円控除か代替資産の特例かのいずれかを統一適用しなければなりません。

なお、譲渡所得と収用等の課税の特例については、私が「知多建設協議会」において研修講師をしたときのテキストとしても使用しました。

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(このブログは、作成時(H25.10月)現在の法令等に基づいて作成しています。)

税理士法人中部メトロ社員税理士 足立勝彦のブログ「不動産のなやみ」から掲載。

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