今回は、固定資産税・不動産取得税の基礎となる建物評価額はどのようにして計算されるのかについて説明します。
家屋を新築してしばらくすると、市町村又は都道府県の家屋調査の担当者が図面を広げながら家屋の中を見て行きます。翌年の3月には固定資産税の縦覧期間があり、自分の家屋評価額がわかります。
この評価額は、毎年市町村が課税する固定資産税の計算の基礎となるだけでなく、都道府県が課税する不動産取得税及び相続税・贈与税の計算の基礎にもなります。
私は県税事務所において3年間家屋評価の担当をしており、非木造の比較的規模の大きい建物の評価額計算をしていました。
建築設計用の図面・見積書を借りてきて1年間で50棟から60棟の家屋評価をしていました。
評価の現場でよく聞かれたことは、
① 庭などの外構工事にお金をかけると評価額が高くなると聞くけれども本当か?
② 安く譲ってもらった材料を使っているから評価額も安くなるのか?
③ 家屋の他に車庫も建てようと思うけれども、家屋と一緒に建てると評価が高くなると聞くけれども本当か?
④ 家の中をいちいち見ないで、見積書の金額から評価額を計算すれば簡単、かつ、プライバシーを見せないでも済む。逐一確認をして何としてでも税金をとろうという姿勢は不愉快だ。なぜ、建築請負契約の契約額を基にして評価額の計算をしないのか?
などの質問が多かったです。
上記①については、庭や外構工事にいくらお金をかけても、庭や外構は家屋ではないので、家屋評価額とは無関係です。
上記②については、購入した材料の価額が高いか安いかは評価額とは無関係です。
公平に課税することを目的にしていますので、使用される材料ごとに標準的な価額が定められています。
同じ規模・程度の家屋を作っていながら、安く買いたたいた人の評価額が低くなって、何も買いたたくようなツテやコネのない人の評価額が高くなるようでは課税の公平を図れません。親会社に勤めているから、住宅メーカーに勤めているから、または大工だから家屋を安く建築できた人には、固定資産税などの税金が安くなるようでは不公平ですね。
上記③についてですが、家屋と一緒でも別でも評価額は変わりません。家屋は1棟ずつ評価をしますので、2棟まとめて建築すると高くなるとか、安くなるとかいうことはありません。
上記④についてですが、上記②の回答と同じです。建築請負契約額が高いか低いかで税金が決定されると課税の公平を図ることができません。同じ材料を使っていても、高い費用を支払っているかもしれません。一部屋一部屋どんな仕様で作られているのかを確認して、公平に課税することを目的としています。
なお、家屋として課税の対象となる建物は、以下のとおりです。
⑤ 家屋が土地に固定されていること。つまり、基礎もなく、押せば動いてしまうものは家屋として課税をする対象にはなりません。
⑥ 3方が壁に囲まれていること。したがって、屋根しかないカーポートなどは家屋として課税をする対象にはなりません。
⑦ 家屋として法務局に登記してあるか否かは無関係ですが、仮に家屋として登記していなかったとしても、申請すれば家屋として登記をすることができる建物であること。
次回は、家屋の評価額がどのように計算されるかについて簡単に説明します。
(このブログは、作成時(H25.5月)現在の法令等に基づいて作成しています。)
税理士法人中部メトロ社員税理士 足立勝彦のブログ「不動産のなやみ」から掲載。